ピンクサロン

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Eちゃんは彼の言葉に驚きを隠せなかった。キャバクラ嬢がご飯に行こうと誘ったら、大体同伴の誘いだ。だからEちゃんももちろん、このままホストクラブに行くのだろうと思っていたのだ。 だが、Iは同伴しようの一言もなかった。プロのEちゃんからしたら本当にビックリした出来事だったらしい。 「お店に一緒に行くよ。ダメだよ、客とタダでご飯に行ったら!」 「え、まじで?同伴ってやつ?いいの?ラッキー!」 IはただEちゃんとの会話を楽しんだだけだったようで、客の一人とは見ていなかった。というか、営業方法の何たるかを知らなかったのかもしれない。 このことをキッカケに、Eちゃんの母性本能はくすぐられ、Iを育てたくなったという。 それからIはEちゃんの家に住むようになり、正式にカップルになった。 最初Eちゃんは、Iに生活費として毎月20万円渡していた。そして、どうすれば客がつくのか色々と教えていたのだが、一向に彼の成績は伸びず、ただEちゃんのお金に甘えて生活していただけだと言う。 まるでヒモのような関係が半年ほど続いた時、ついにEちゃんはキレた。 「なんで稼げないの?!どうしてヒモみたいな生活であんたは納得してるのよ!」 と問いただし、ついには家から出て行け!と突き放したと言う。しかもIの荷物を全て外に放り出して。 さぁ困った。Iは既にEちゃんのことを好きになっていたし、彼女から離れれば自分の生活さえ危うくなることは重々承知していた。そのため、ようやく本腰を入れて接客していったと言う。 Eちゃんに教わったようにメールして、営業して。ついにはNo.3にまで上り詰めたI。 晴れて一ヶ月で500万円以上を当たり前に稼ぐ凄いカップルとなったわけだが。 ここからが本当の正念場だ。お金持ちの奥様に気に入られたIはいつも、奥様に連れまわされ、一緒にホテルに行くなど本当に危険な道を歩いていたらしい。 それでもEちゃんは強かった。ホテルに行っても体の関係にならないようにうまく交わしていたIではあるが、Eちゃんの不安はとてつもないものだったろう。 彼氏が他の女の人とホテルに行くなんて、いくらお金のためと言えど普通の精神状態じゃ耐えきれないと思う。私だってそうだ。
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