第18章  ラブ・バレンタイン

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しかしそれも、ほんの一瞬のこと。 「衛、何がしたいか考えておいてくれない? 私も考えるから」 そう言ってみるも、再び浮かない面持ちに戻った彼は 「うん……」と小さく頷き、 そのまま、お風呂に入るとキッチンから離れていく。 疲れているのだろうか。 もしかして職場で何かあった? それとも、シアトル以来の出張に、単に気が重くなっているだけなのかしら。 だが私は、なんとなく理由を聞けないまま、 わずかに肩を落として部屋を出て行く背中を黙って見送っていた。
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