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そんな夜を過ごしたせいではなかろうが、
翌朝の彼は、いつもの彼に戻っていた。
お陰で、どうやらバースデー・デートのキャンセルと久々の出張に
気が重いのだろうと、私の中でも結論が出る。
そして、それが証拠の日曜の夕方。
「行ってらっしゃい」
出張準備をした彼を玄関まで見送りに出ると、
靴を履き「行ってきます」と言って、ふっと振り返る。
そして「ん?」と言った私を、やおら荷物を置いて抱きしめた。
「香奈、寂しい?」
寂しいのは私よりも、彼の方なのは明らか。
しかも、なんだか学生時代の恋人みたいな事を言われて
ちょっとこそばゆい。
そう思いつつも、一応頷いてみた。
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