第18章  ラブ・バレンタイン

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「実はさ、ちょっと行ってみたい所があるんだけど。 その、なんていうか、俺からのバレンタインの贈り物ってことで……」 それに私は、「えっ?」と小さく聞き返す。 「バレンタインって、女性から贈り物する日でしょ?」 ところが、そんな私の疑問に、 受話器の向こうで、彼が微笑んだような気がした。 「うん、日本ではね。でも、欧米の多くの国では、 その日は、恋人たち、愛し合う者たちの日なんだよ。 だから、俺からも贈り物がしたいなって思ってさ」 そんな事を言ってくれたお蔭で、 それまで、少なからず抱いていた彼への心配が一気に吹っ飛んだ。
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