第17章  あの頃(続き)

5/7
前へ
/37ページ
次へ
やるせなさげに肩を落とす彼を前に、ようやく私にも彼の不安が読めてきた。 たぶんそれは、随分前に彼が、自分の想いを私の重荷にしたくないと言った あの事に関係しているのだろう。 だから、 「衛、変わりたいの?」 えっ……? そして、当然彼は、私の変化球の問いにちょっと訝しげな面持ちになる。 そんな彼を、私はそっと抱きしめた。 「佐々木くんね、衛のこと憶えてたわよ。 ちょっと変わってて、英語と生物が得意だったって。 私と一緒に、文化祭委員をしてたことも憶えてた」 そして、私の肩に顔を埋めた彼の背中をさすりながら言う。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加