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第18章 ラブ・バレンタイン
いくつになっても、バツが有っても、
恋は、幸せの裏側で不安を作るものらしい。
そのせいで立て続けにお互いの不安が顔を出し、
互いにそれを解消させた、この日。
ちょっと浮かない顔の彼が、のっそりと帰宅してきた。
「お帰り」
この日は残業もなく、夕飯を作りながら声を掛けるが、
「ただいま」と返ってきた声は、やっぱりどこか元気がない。
だが、その理由は間もなく分かった。
「ねぇ、香奈。ごめん、来週の金曜のデートだけど、
キャンセルしてもいい?」
「うん。それはいいけど、何かあった?」
尋ねると、今週の日曜から10日ほど出張で松本に行くという。
そして、約束の金曜日は、
その週の火曜日に迎える彼の誕生日祝いの予定だった。
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