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私は慌てドアを開けた。
「ど、どうされたんですか?部長…。」
目の前の高崎部長にいつもの格好良い上司の影は微塵もなく、怒られた後の小さな子供の様に俯き加減に泣きそうな顔をしていた。
暫く待ってみても部長が口を開く様子は一向にない。
「…えっと、……とりあえず中で話しましょうか…。」
そう促すと、そろそろと部屋に入り、棒立ちのまま、ゆっくりと口を開いた。
「ぬいぐるみが……無いんだ。」
部長の口から出た言葉に一瞬戸惑う。
「ぬいぐるみ……。あっ!!姪っ子ちゃんに頼まれたってやつですか?」
ホテルに着くまでの車中で確か部長は、ホテルに着いた後は姪っ子に頼まれたお土産のぬいぐるみを探しに行くのだと楽しそうに話していた。
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