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気付けば私は高崎部長の腕の中にいた。
「やっぱり。」
突然抱き締められたことに混乱する私をよそに、抱きしめたままさわさわと背中の辺りを触りながら、一人納得する部長。
訳も分からず部長の顔を見上げると、私をじっと見つめていた。
正確には、私の服装を。
その瞬間、部長が私を抱き締めた理由が分かり、私は冷静を取り戻した。
「部長……、そんな目で見たって、このパジャマは貸せませんよ…。」
私だって思わなかった訳じゃない。この部屋に1つだけ部長のぬいぐるみのようにふわふわもこもこなものがあると。
そう、それこそが部長が今見つめている私のもこもこパジャマなのだ。
だからといってこれを貸してしまったら、私が着るものがなくなってしまう。
「絶対貸しませんよ。」
今度は少し強めに言ってたけれど、部長の腕は緩まない。
そして、ゆっくりと口が開いた。
「いや、パジャマというか、君ごと借りられないだろうか?」
部長は真っ直ぐ私を見ながらも少し極り悪そうにそう言った。
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