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第20章 衛の秘密(続き)
「知り合ったのは、大学院を終えて帰国して、
今の研究所で働くようになって一年くらいした頃。
初めて、ある会社との共同開発プロジェクトのメンバーになれて
彼女は、そこの受付にいたんだ」
しかし、彼はひと目惚れをするタイプでもないため、
数回その会社を訪れても、二人の間は、ただの顔見知り程度。
そして、彼も、別に何も意識はしなかったらしい。
「それが、ある日の夕方。打ち合わせを終えてエントランスに降りてきたら、夕立が降っててさ。昼間は天気が良かったし、ひどい雨だけど傘もない。
だけど、その日は俺一人で行ってたから研究所に報告に戻る必要もあって、ちょっと困ってたら、彼女が傘を貸してくれてね」
助かったと、その日はありがたくそれを借り、
後日に返しに行った時に食事に誘われたという。
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