先輩とロールケーキ

3/3
前へ
/12ページ
次へ
ペリペリ。 ペリペリぺり。 「あのー、先輩? 何してるんです?」 「ロールケーキはこうすると一番おいしいの♪」 「いやいや、子供じゃないんだから!」 そう、ケーキが出てくるやいなや、先輩はフォークを器用に使って、ロールケーキを一層一層ばらばらにし始めた。 基本的にスペックが高いせいか、フォーク一本でとてつもない速さでロールケーキを『解体』していく最上先輩。 あっという間に一本の薄皮のカーペットの出来上がりだ。 「みんなにもよく言われるんだけどね。昔っからどーしてもこの食べ方がやめられなくって」 「もしかして先輩、バームクーヘンを一皮ずつはがして食べていたクチですか?」 「そう! はじめはバームクーヘンから! いやーよくわかったね。もしかして、清澄クンは同志だったり?」 てへっと舌を出してお茶目にふるまう先輩。 普段完璧に見える先輩にも、こんな子供っぽい一面があったんだ。 完璧超人』最上みれいの意外な欠点その③ ロールケーキを一層ずつ分解して食べる。(しかも神ワザ) またひとつ、欠点を見つけてしまった。 これはいくらなんでも恥ずかしいし、何とか直せるように俺が指導しよう。そう心に決めるのであった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加