先輩とお弁当②

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「そうなんだ~。じゃあじゃあ、明日から私が作ってきてあげよっか?」 心臓が、飛び出るかと本気で思った。 「え!?マ、マママジですか!?」 「うん。どうせ一つも二つも変わらないしね。それに私も彼女らしいことしなくっちゃ」 はあぁぁ!! こんな幸せがこの世にあっていいのだろうか。 もしかしたら俺、もうすぐ死ぬんじゃね? そんなくだらない煩悩を何とか振り払い、答える。 「せ、先輩が無理でなければ、是非!」 「うん、よし、張り切っちゃうぞ~」 拳を作り、ぶんぶんと頑張りポーズを作る先輩。 「じゃあ、早速食べよう!」 「は、はい!」 先輩が作るお弁当か……。どんなだろうか。きっと超絶美味しいんだろうな。 「じゃあ、いただきます」 「い、いただきます」 先輩はパカっと弁当箱のふたを開けた。 色とりどりの具材やトッピングでデコレーションされた先輩の弁当は、なんだかそれだけで芸術のようだった。 ……というか、これ、キャラ弁? 「今日は張り切って作ったんだ。ほら、これ、ぷ○キュアのレッドだよ!」 完璧超人、最上みれいとキャラ弁。 しかも、国民的少女向けアニメ『ぷ○キュア』のキャラクター。 どこからどう見ても、ミスマッチだった。 ……い、いや、きっと小学生の妹さんのために作ってあげてるんだ。自分用も合わせてデコレーションしてるだけなんだ。そうに違いない! 「か、かわいいですね……。妹さんのために作ってあげてるんですか?」 うま~と満面の笑みでキャラ弁を頬張る先輩に訪ねる。 「ん? 妹? ううん、私一人っ子だけど」 「そ、そうなんですか。今日はたまたまデコっちゃった感じですか?」 「いっつもこれだよー。最新レパートリーが無くなってきちゃって困ってるの。そうだ、清澄クン、リクエストある? 明日キミ用のそれで作ってあげる!」 「あ、ありがとうございます。考えときます……」 準備あるから、夜までには教えてね! と言ってパクパク続ける先輩。 『完璧超人』最上みれいの意外な欠点その① お弁当が毎日キャラ弁(幼女向けアニメ) 普段の先輩からは想像できないけど、きっと先輩とお昼を食べられたからこそ知ることができた”違った一面”かな……。 俺用のキャラ弁を何でお願いしようか悩みつつ、パンを頬張るのであった。
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