一人

68/95

167650人が本棚に入れています
本棚に追加
/1004ページ
黙り込む一同… 何も言い返す言葉がない… 手術が終わる頃には 愛や杏も駆け付けていた そして愛が 「あたしの為に瑞穂は……… あたしを助けようとして 無理させてしまったんや… あたしのせい… あたしのせいで瑞穂は… 先生… あたしの命あげるから 瑞穂を 助けて下さい…… 助けて… 助けて… 助けて…」 そう… 愛は混乱し 出来る訳もない事を口にしたんだ 【あたしの命をあげるから…】 何度も繰り返しそう呟く……… 壊れたロボットのように 何度も… 何度も… しばらくして 瑞穂はICUへと運ばれた 運ばれる途中 隼人は瑞穂の手を包帯の上から握りしめた 指先がヒンヤリと冷たい ピクリとも動かない瑞穂 酸素マスクはされているが 呼吸をしているのか分からない程 瑞穂は弱っていた 綾がソッと囁く…… 「瑞穂……もうすぐ瑞穂の誕生日やで? 3月22日 16歳になるんやで? ちゃんと迎えような? なぁ…瑞穂………約束やで…」 涙を流し そう呟く綾………
/1004ページ

最初のコメントを投稿しよう!

167650人が本棚に入れています
本棚に追加