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「当日に、サプライズで渡すの?」 「あ、はい。多分、本人、当日になっても自分の誕生日だってこと気づいてないと思うんで。」 「……あぁ、たしかに。夏目、興味なさそうだよね、そういうの。」 私の言葉に納得したのか 新庄さんは頷きながら苦笑いを浮かべた。 いつもそうだった。 陸はいつも 当日になって おめでとうって伝えて ようやくその日が 自分の誕生日だって気づくくらいで。 前に一度だけ 本人に聞いたことがある。 どうして 誕生日を忘れるの?って。 そしたら 興味ないからって 彼らしい返事が返ってきたことがあった。 「普通、自分の誕生日って、忘れないけど……まあ、そこが夏目らしいよね。」 「ふふっ、そうですね。」 「あ、でも……やっぱり、一番に……」 「え?」 「いや、なんでもない……。」 「?」 当日は 彼の部屋で 夕食を作る約束をした。 そのあと サプライズで 陸にプレゼントを渡して その日は土曜日で 次の日は休みだから そのまま彼の部屋にお泊り予定。 「……新庄さん、本当にありがとうございました。私、早速、仕事帰りに探しに行ってみます。」 「付き合おうか?」 「あ、いえ、大丈夫です。あとは、一人でも平気です。」 新庄さんには 感謝してもしきれないくらいに 助けてもらったし あとのことは私1人でも大丈夫だと思う。 .
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