8/8
4427人が本棚に入れています
本棚に追加
/473ページ
「……絶対、ですか?」 「もちろん、絶対よ。これは、決定事項だからね。……まさか、雛子ちゃん……先輩が決めた決定事項に逆らったり……なんて、そんなことしないわよね?」 「……」 いつもは 穏やかで優しくて 頼りがいのある咲先輩が こんな時だけは ワザとらしくも  先輩風をふかせ私に有無を言わせなくて。 「……もう、今回だけですからね。」 小さく ため息を漏らしながら 渋々、咲先輩へとそう伝える。 咲先輩は 自分が こうだと決めたら 周りがどうであれ そんなの全くお構いなしに 周りを巻き込みながらも突き進むタイプで。 「うんっ、もちろん!!ありがとう、雛子ちゃんっ!!」 「わっ、さ、咲先輩、苦しいです!!」 結局は いつも こんな感じで 咲先輩の思惑通りに 私は操られ頷いてしまうんだ。 「よーし。今日は、営業部の奢りだし、イイ男見つけて、タダ酒飲んでタダ飯食べまくるわよ!!」 「……そう、ですね。」 咲先輩の言葉に 苦笑いを 浮かべながらそう言葉を返す。 「今度こそ、いい出会いがありますように!!」 「もう、咲先輩ってば……」 まさか、この時。 数時間後に 運命の 歯車が激しく狂い 終わったはずの恋が。 忘れたはずの想いと気持ちが。  再び 動き出すなんて この時の私は 想像もしていなかった----。 .
/473ページ

最初のコメントを投稿しよう!