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1日の 仕事を無事に終え 親睦会と 名ばかりの合コン会場でもある 居酒屋さんへと晴れない気持ちで向かう。 「……雛子ちゃんってば。せっかくのチャンスなのにまた、そんな端っこ選んで……。」 予約されていた 少し大きめの 個室の部屋へと着くなり 私は 一目散に呆れ果てる 咲先輩の 視線を感じながらも お構いなしに壁側の端っこの席へと座る。 「今日は、イケメン揃いなんでしょ?」 「ヤバイヤバイ、もう1回、化粧直ししておこ。」 そう言いながら 慌ただしくも 化粧直しをする女子たち。 あの日。 恋心を仕舞い 恋をしないと決めた私は 異性との 出会いを求めるが故の ドキドキ感ですら忘れてしまって。 ああやって 純粋に 恋を楽しむ子を見ていると 少しだけ……羨ましく思う時があって。 でも それは 自分で決めたことで。 なによりも 彼を裏切った私には 恋をする資格なんてないんだ-----。 「雛子ちゃんはいいの?」 私へと そう聞きながら 私の隣へと腰を下ろす咲先輩。 きっと 私が 壁側を選んだから 気を気かせて隣りに来てくれたんだ。 「私は、大丈夫です。」 「そうね、雛子ちゃんは手直ししなくても十分可愛いからね。」 「そ、そんな……」 .
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