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「……あ。」
「ん、どうかした?」
「いえ……」
偶然にも
私とは
反対側の壁際に座っている
眼鏡をかけた人と
視線がぶつかった瞬間に
ワザとらしくも視線をそらされた。
そんな
彼とは裏腹に
新庄さんは
自分に気づいてと
言わんばかりにウインクをしてくる……。
やっぱり
あの時の
お礼も謝罪もなしだから
きっと……私の顔も
見たくないくらいに怒ってるんだ……。
「よしっ、みんな準備はいい?じゃあ、まずは乾杯から!」
「「かんぱーい。」」
咲先輩の
掛け声を合図に
いっせいに
グラスを合わせ乾杯をする。
「まずは、簡単に自己紹介からしよっか。」
「はいはーい!まずは、俺から!えー、俺は、営業部所属の新庄光です。彼女はいませーん。ただいま、大大大募集中でーす!」
新庄さんの
そんな自己紹介に
一人を除きみんな大爆笑で。
最初はみんな
どこか緊張していて
その緊張が
周りの
空気として流れていたけど
新庄さんの
自己紹介のおかげで
一気に
雰囲気が親しみやすい
穏やかな雰囲気へと変わっていた。
「次は、じゃあ次は、お前ね。」
「……俺はいい。」
「は?何言ってんだよ。ほーら、自己紹介しろよ。」
「……」
面倒そうに
眉間にシワを寄せて
盛大に
ため息をつき
ズレた眼鏡をなおす
そんな
彼の何気ない仕草に
その場にいた女子は釘付けになっていて。
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