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「え、会わなかったの?」
「あ、はい……。」
休憩を終え
受付へと戻れば
ニヤニヤした
不敵な笑みを浮かべる
咲先輩に陸に会えて
よかったねって冷やかされて。
「あれ?おかしいなぁ……。予定より早く戻ってきた、夏目くんが、雛子ちゃんのこと探してたから、いつものとこでお弁当食べてるよって教えてあげたんだけどな。」
「そうなんですか?」
「そう。」
あれから
ずっと
中庭で新庄さんといたけど
陸は中庭には姿を現してなくて。
けれど
この時はそこまで
深く考えてはいなかった。
でも
それは
確実に少しずつ
地に根をはり芽を出そうとしていた-----。
*
「雛子ちゃんっ!」
「あっ、新庄さん。」
陸の誕生日を
ついに3日後に控えた日。
廊下で偶然に
バッタリ新庄さんに出くわした。
「陸が欲しがってるモノ……と、いうか、興味を示したモノ、やっと見つけたよ。」
「えっ、本当ですか?」
「耳かして。」
「はいっ!」
返事をして
内緒話のポーズを取れば
小さな声で
囁くように耳打ちしてくれた。
「……え、意外です。」
「でしょ?けど、最近、それが特集されてる雑誌とかよく見てるんだよね。」
新庄さんに
教えてもらった
彼が
興味を示したモノは
面倒くさがり屋の
彼にしては珍しいモノだった。
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