4488人が本棚に入れています
本棚に追加
「今日は、あの、イケメン揃いで有名な営業部よ?」
「私、興味ないので……」
私には
恋をする資格がない。
誰かを
好きになったり
誰かと
恋をしたりなんて
私には縁も縁もない話し。
「……もしかして雛子ちゃん、まだ、ミカンくんのこと忘れられないの?」
「ち、違いますっ!!」
咲先輩の言葉に
みるみるうちに赤くなる顔。
前に
酔った勢いで
咲先輩には
昔のことを話したらしく
彼女は私の過去を知る少ない人物の1人。
「悪いことは言わないから、いつまでも過去にとらわれてないで前に進みな。」
「……」
「ミカンくんだって、きっと雛子ちゃんのこと恨んでなんかないだろうし、何十年も前のことだし、雛子ちゃんのことは忘れて前に進んでるわよ。」
「……そうですね。」
私のことを
忘れて前に進む……か。
それは
私にとっても
彼にとってもベストなカタチで。
けれど
同じくらいに
寂しさを感じてしまう……
それは……
完全に私の勝手なワガママで。
私に
寂しいなんて
そんな感情を
抱く資格なんてないんだ-----。
「ほらほら、前に進むためにも、ね、ね?参加しようよ!!」
「……あっ。私、この荷物運ぶの頼まれてて。先輩、あとお願いしますね!」
今の話題を
強引に終わらせるべく
私は逃げるようにその場を離れた。
「……ふふふ。逃げてもムダよ、雛子ちゃん。」
.
最初のコメントを投稿しよう!