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* 「お、重い……」 営業部へと 運ぶようにと 頼まれたダンボールの箱。 あの時は ただただ あの話を終わらせるべく その場から 逃げることしか考えていなくて 後先考えずに受付を飛び出してきた私。 予想以上に 重いダンボールを抱え 自分の 後先考えない行動に 激しくも後悔しながら フラフラと営業部へと歩みを進める。 「……お前、バカ?」 そんな 言葉とともに 手に持っていた ダンボールがなくなる。 不思議に思い 声の方へと視線を移せば そこには スーツを 身にまとい眼鏡をかけた男性が 私が抱えていた ダンボールを軽々と持ち立っていて。 「……あ、あの」 「お前、これ、自分一人で運べるとでも思ってんの?」 眼鏡の レンズ越しに   鋭い視線で 私のことを見つめる男性。 「すいません、あの、私……」 「中の商品に傷がついたらどう責任取るつもり?」 「すいません……」 「連絡くれれば取りに行くし、荷台だってあるんだから使えよな。」 次々と 私へと 浴びせられる ごもっともな意見に すいませんを繰り返すしかできなくて。 「……まあまあ、それくらいにしてあげてよ。彼女、女の子なんだし。ここは、俺に免じて。ねっ?」 .
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