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都市の中央部から離れた郊外。
とある地区の街角で、車から、ナギとマスカレィドが降りる。
街並みは、旧極東の国絶頂期である建造物でそろえられており、瓦屋根の建物が並んでいる。
黒瓦屋根の連なりの向こうに、街を囲む堅固な城壁が遠くに見える。
大昔に海の向こうから攻めてきた魔物の侵略を防ぐために建造された城壁が、街と外部、村などを分け隔てている。
目を戻すと、高い壁。
そして美しい極東の風景が描かれた、鉄扉が見える。
壁の向こうには、氏族か貴族の避暑地にでも使われそうな、極東建造物があった。
運転していた男が呼び鈴を鳴らして内部と連絡をとると、鉄の扉が開いていく。
男を先頭に、敷地へ足を踏み入れる。
手入れさた庭園の砂を踏みしめつつ、建物に向かう。
「いやぁ、ナギ先生から仕事を手伝ってもらいたいと言われるとは思わなかったぞ。」
「超人であるマスレィド先生がいてもらえると心強いです。」
男は二人の会話を無視したまま歩き、二階建ての玄関に到着。
木製の扉を叩くと、しばらくして内側から扉が開いた。
扉を抜けると、すぐに応接間になっていた。
中央にある応接具の周囲には、八人の男達が立っていた。
それぞれサングラスをかけ、黒背広を着ていたが、ただ者ではなかった。
隙がない立ち姿。
どこぞの軍か専門の腕利きの強者達だった。
八人の男達が
囲んでいるのは、応接用の革張りの椅子。
優雅に腰を下ろしているのは妖艶な女だった。
烏羽色の黒髪。
銀の煙管に、黒真珠の瞳。
着崩れた、黒地に緻密な金糸が縫われた、着物をまとっていた。
煙管を持つ手の指に、四つの指輪が光っている。
赤や青、黄に緑の宝石の色が目に印象的だった。
妖艶な笑みを浮かべたこの女が、場の中心だと分かった。
ナギは既視感を抱いた。
確かにどこかでこの女を見たことある。
脳内にある記憶を探そうとしたナギの傍らで、運転手の男が進む。
女の前で片膝をついて、敬礼をとった。
「魔剣学園の教師ナギ・アルバニア氏と、その同僚であるマスレィド=エディンム氏の両名をお連れして参りました。」
ただの喋らない運転手は、無愛想な男から忠実な家臣へとジョブチェンジしたようだ。
「我が主君、桜・α・アリス姫に、再会できてよろこびをもうしあげます。」
姫……あぁ、道理で見たことあると思ってたんですよ。
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