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「先、行ってるね?」
私は慌てて、校門へ走った。
「あ、おい!」
先輩が後ろから呼び止める。
私は動揺して、校門で盛大にコケてしまった。
「だ、大丈夫か?」
先輩が私を支えた。
「大丈夫です。」
「血が出出てるぞ?」
「平気ですから。」
そう言って立ち去ろうとすると先輩に引き止められた。
「ダメダメ、すぐに洗い流さなきゃ。」
そう言い、私を支えて、水道のあるところまでつれて行き蛇口を捻って私の膝を洗った。
私の目から大粒の涙が溢れ出した。
「だ、大丈夫?痛むの?」
ひとみが心配そうな声で言う。
「す」
「え?なに?」
「す・・・きで・・・す。す・・・きすき、せんぱい。」
私の口から言葉が溢れ出た。まさかこのタイミングでの告白。
みっともない。
「ずっと、ずっと、すき・・・でした。」
私は嗚咽しながら言った。
水道の水が流れる音だけが大きく響いている。
何も言えずに、私達は立ちすくんでいた。
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