3/3
前へ
/13ページ
次へ
「先、行ってるね?」 私は慌てて、校門へ走った。 「あ、おい!」 先輩が後ろから呼び止める。 私は動揺して、校門で盛大にコケてしまった。 「だ、大丈夫か?」 先輩が私を支えた。 「大丈夫です。」 「血が出出てるぞ?」 「平気ですから。」 そう言って立ち去ろうとすると先輩に引き止められた。 「ダメダメ、すぐに洗い流さなきゃ。」 そう言い、私を支えて、水道のあるところまでつれて行き蛇口を捻って私の膝を洗った。 私の目から大粒の涙が溢れ出した。 「だ、大丈夫?痛むの?」 ひとみが心配そうな声で言う。 「す」 「え?なに?」 「す・・・きで・・・す。す・・・きすき、せんぱい。」 私の口から言葉が溢れ出た。まさかこのタイミングでの告白。 みっともない。 「ずっと、ずっと、すき・・・でした。」 私は嗚咽しながら言った。 水道の水が流れる音だけが大きく響いている。 何も言えずに、私達は立ちすくんでいた。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加