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月夜にダンスを踊りましょう。
お屋敷の誰もいない裏庭で。
グルグル渦巻きメガネのメイド姿のわたしと、ハの字のチョビひげメガネのあなた。
社交界の開かれている、絢爛豪華な会場ではなく。
わたしとあなた、2人だけのダンスホール。
月の光のスポットライトを浴びながら。
ガラスの靴で踊りましょう。
「どうしてちょびヒゲ鼻メガネを付けてらしたの?」
夫となった殿下とダンスを踊りながら、ずっと不思議だった事を訊いてみる。
「貴女がメガネを掛けていたので、合わせました。新月のあの夜は、掛けてなかったので外したんです」
何とすべてはわたしに合わせていたなんて。
「どうしました?苺のように真っ赤ですよ」
クスクス笑って耳元で囁いてくるから、恥ずかしくなって俯いた。
「貴女の継母から裏庭にいる理由を聞いていました。そのメガネの理由も」
「え?お継母さまが」
思わぬ言葉に驚いて顔を上げると、彼にメガネを外された。
「“伯爵家夫妻からお預かりした大切な娘です。どうか幸せに”って。そう言ってましたよ」
彼が顔を寄せて来たので、わたしもそっと鼻メガネを外してあげる。
『愛する人を見つけられる魔法の道具よ』
ママの言葉を思い出し、幸せな瞬間が降りてくるのを待つのだった。
~メガデレラ!!~
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