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玄関を閉めたあと、最後の言葉が俺の脳内に響いていた。
……早くいい人が見つかるといいね。
なにも考えないようにと帰路についたが、俺の意志とは無関係にさっきまであった出来事が蘇ってくる。
……うっ………………っ……
近くの公園に駆け込んだとき、声にならない声と共に抑えていた感情がぽろぽろと溢れ出した。
誰もいない公園に自分のすすり泣く音だけが静かに響く。
止まらない嗚咽と涙。
頭の中で泣くなと自分に言い聞かせても涙は次から次へとあふれてくる。
時折、通りかかっていく人達から不審な目で見られていたが気にしてる余裕はなかった。
……悔しい…………悔しい…………悔しい
自然と握りしめた拳に力が入る。
後悔しても全然足りなくって、どうすればこの気持ちから解放されるのかが分からなかった。
ただただ、悔しくて。
もし、一度でも「好き」と言葉で自分の想いが伝えられていたのならなにか変わっていたのかもしれない。
チャンスは何度となくあったのだから。
全部潰したのは他の誰でもない自分。
こんな事になるなんて思ってもいなかった。
今日だって誘ったのは結衣からで。
いつだって自分から関わろうとはしなかった。
今だってこの辛い気持ちから、現実から逃げようとしているだけで何も受け入れようとしない。
後悔したときにはもう遅いんだ。
後悔してから気づけることもあるがそれ以上に失ったものは大きかった。
……もし、やりなおせたのなら。
……高校時代の自分に見せてやりたい、この現実を。
……教えてあげたい、逃げても意味がないんだってことを。
あの日あの時あの場所で……。
……頭の中に過去の記憶が蘇ってくる。
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