第一章 教科書はどこにある

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 菜津美のその言葉に、裕也は、少しずつ、元気を取り戻していきました。     四  早速二人は、裕也の家に上がり込むことにしました。裕也の両親が昼間、仕事でいない事は、大家の美代子から聞かされていたからでした。普段の裕也はというと、美代子の家で、両親が帰ってくるのを待つのが日課になっていました。けれども、その日は、父の仕事が休みだったので、家にずっといたという事です。それを聞いたから、こんな風に、裕也の家に押し掛けてきたという事でした。  中に入ってみると、さっぱりとした風景が広がっていました。裕也の祖母でもある美代子が、仕事の合間を利用して、時々、掃除をしに来ているのだと、裕也は言うのです。
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