第一章 教科書はどこにある

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「前にばあちゃんが、この部屋にやってきた時に、辺り一面、紙くずだらけでさ。それでこうして、時々、掃除に来てもらってるんだよ」  裕也は、紙くずの量を手で表しながら、どのくらいあったかを説明してくれました。 「その日も、大家さんは掃除しに来てたの?」  菜津美のその質問には、裕也は首を横に振りました。その理由としては、祖母はこの日、PTAの集まりに出席していて、留守だったという事でした。 「だから、この日はばあちゃんは掃除しに来ていない。そう言いたいんだね」  正志のその問いには、裕也はあやふやな言い方をしていました。どうしてかと言いますと、裕也は一度、父と一緒に公園に遊びに行った時期があったという事でした。
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