第1章

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やっぱりか、やっぱりなのか。 最近知ったことだが、やはりアレの話は少しついていけない。 「凛!凛!あのね!!」 「うん、落ち着いて。緋美?」 「私、この間本屋に行ったんだけどね!!そこで買った本、当たりだったよ!!!」 「良かったね」 「うん!!続編が楽しみだな~♪」 ここまでは良しとしよう。 普通の会話だ。 「えーっと、その本の内容ってやっぱり、アレの事?」 「そう!!本当に良かったよー!」 「BL本!!!」 彼女が顔を赤らめてそう言った。 その発言が無ければ、良かったのに。 彼女は立派な腐女子なのだ。 「そう……どんな感じ?」 聞くのはもう馴れた。 彼女は嬉しそうにその質問に答える。 「今回は拘束系にいってみたんだけどねー。まだ一巻だからそこまで進展してなかったけど……大好きなヤンデレ攻めだったんだよ!!」 収穫だったよー、とうっとりした顔で言う。 「あ、凛は絶対受けだよねー!」 どういう回路でそこに繋がったのか解らないが、兎に角、彼女は嬉しそうに言った。 そして僕はこの笑顔に弱いのだ。 例え腐女子でも、僕がノーマルと認められなくても、責めて攻めにしてくれと頼んでも聞き入れられず、絶対受けだと頑固に言い張られても、彼女が好きだった。 「収穫があって良かったね」 少し疲れながらそう僕は言う。
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