125人が本棚に入れています
本棚に追加
まず最初に感じたのは乾いた風だった。
その風の中には粒子が少しだけ混ざっており、あまりいい感触ではない。
次に閉じていた瞼を虚ろながらに半分ほど開く。
ぼやけて見えた光景は、ただただ薄茶色に広がる大地だった。
風の粒子と薄茶色の大地を確認したところで、ようやくここが砂漠だということに気づく。
砂漠だという事は理解したものの、今の状況を理解できているわけではなかった。
「どこだここ?」
そう呟くのも無理はない。
今思い出せる記憶では、自分が砂漠に転がっている理由に繋がるものがなかったからだ。
なんでこんな所に?
そう思い、眠っていた脳を覚まし必死に今の状況を理解しようとした。思いの外、状況を理解するのに時間はかからなかった。
おもむろに立ち上がり、覚悟を決めた顔つきで声を出す。
「そうか……始まったんだ。待ってろよ皆。」
そして砂漠をただひたすらに歩き出した。
最初のコメントを投稿しよう!