第0章 プロローグ

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まず最初に感じたのは乾いた風だった。 その風の中には粒子が少しだけ混ざっており、あまりいい感触ではない。 次に閉じていた瞼を虚ろながらに半分ほど開く。 ぼやけて見えた光景は、ただただ薄茶色に広がる大地だった。 風の粒子と薄茶色の大地を確認したところで、ようやくここが砂漠だということに気づく。 砂漠だという事は理解したものの、今の状況を理解できているわけではなかった。 「どこだここ?」 そう呟くのも無理はない。 今思い出せる記憶では、自分が砂漠に転がっている理由に繋がるものがなかったからだ。 なんでこんな所に? そう思い、眠っていた脳を覚まし必死に今の状況を理解しようとした。思いの外、状況を理解するのに時間はかからなかった。 おもむろに立ち上がり、覚悟を決めた顔つきで声を出す。 「そうか……始まったんだ。待ってろよ皆。」 そして砂漠をただひたすらに歩き出した。
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