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「おき…ろ!」
俺の耳元で誰かが声を出したのが朧げながらに聞こえてきた。その声は馴染みのない少年の声だ。
その声を聞き流した後、微かに意識を取り戻す。
しかし脳の動きとは裏腹に身体が言うことを聞かず、瞼は重く開かない。
「おきろ!」
誰かの言葉ははっきりと耳に聞こえてくる。
だがそれに脳が追いついていない。言葉の意味を完全には理解していなかった。
それでも叫び続ける声のお陰なのか、俺は少しずつ五感を取り戻していく。
テントの中だろうか、日は当たらないものの暑さはかなり感じる。それを証拠に、身体は汗だくになっているのが分かった。
「はぁ……。」
声は叫ぶのを止め諦めたようなため息をつく。
かと思うと、次の瞬間にはさらに大きな声が鼓膜を刺激した。
「おきろおおお!!!」
「うあ!!なんだ!?」
耳元で聞こえた、鼓膜を破りそうな程の大きな声で俺はようやく目を覚ます。
それとともに、条件反射なのか倒れていた身体をすばやく起こした。
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