第1章 Start of travel

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「おき…ろ!」 俺の耳元で誰かが声を出したのが朧げながらに聞こえてきた。その声は馴染みのない少年の声だ。 その声を聞き流した後、微かに意識を取り戻す。 しかし脳の動きとは裏腹に身体が言うことを聞かず、瞼は重く開かない。 「おきろ!」 誰かの言葉ははっきりと耳に聞こえてくる。 だがそれに脳が追いついていない。言葉の意味を完全には理解していなかった。 それでも叫び続ける声のお陰なのか、俺は少しずつ五感を取り戻していく。 テントの中だろうか、日は当たらないものの暑さはかなり感じる。それを証拠に、身体は汗だくになっているのが分かった。 「はぁ……。」 声は叫ぶのを止め諦めたようなため息をつく。 かと思うと、次の瞬間にはさらに大きな声が鼓膜を刺激した。 「おきろおおお!!!」 「うあ!!なんだ!?」 耳元で聞こえた、鼓膜を破りそうな程の大きな声で俺はようやく目を覚ます。 それとともに、条件反射なのか倒れていた身体をすばやく起こした。
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