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最近の子供は鳥取砂丘を知らないのか?
俺はそう思いながら、重い腰を上げる。そして少年を再度一瞥したあとに、そのままテントの出口を探した。
大人5人は寝転がれるであろう割と広いテント。もちろん出口ぐらいはすぐに見つかりそこに歩き出す。
だがその行動を慌てた様子の少年が止めに入った。
「おいどこいくんだ!?ここはまだ砂漠のど真ん中だぞ!」
俺は少年の意味不明な言動に一瞬だけ動きを止める。だがすぐに我に帰り少年に苦笑いを見せた後、テントのファスナーに手を伸ばした。
砂漠のど真ん中?何をいってるんだ?
なんか戦隊ごっこでもやってんのかな?
そんなことを思いながらテントのファスナーを一気に下に降ろす。それにより布で出来た扉はヒラリと開いた。
しかし、テントのファスナーを開けて俺が見た光景はあまりに衝撃的なものだった。
「う……そだろ?」
俺は無意識に声を漏らす。
何故なら、少年の言うとおりテントの先には見渡す限りの砂漠が広がっていたのだ。
砂埃が舞い上がり、陰影をつけるように凸凹と広がる薄茶色の地面。誰がどう見ても砂漠だ。
俺がその光景に呆然としていると、少年が俺に声をかけてきた。
「だからいったろ?……文句言うなよ?本当は村に運ぶ予定だったが、俺は一応【砂漠の盗賊団】の支部団長だからな。あぁ名前はピッツな。」
今の俺にそんな子供の自己紹介が耳に入ることはない。ただただ、目を覆い尽くす大量の砂に驚いていた。
「な……なんでこんなところに」
俺が覚えている限りでは今は2014年、そして俺がいた場所は日本。
それはこんな砂漠地帯とは違い、高層ビルが立ち並ぶ近代的な場所だったはずだ。
テロか?それともドッキリか?
いや……違う。思い出した。これは……。
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