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放課後になり、部活のある生徒は各部活へと急ぎ、帰宅部は集まって遊びに行ったり帰ったり。
教室には、真白一人だった。
夕焼けの赤い光が教室を包み、眩しく照らす。
この景色は、嫌いじゃなかった。
「(死んじゃおうかな。)」
ふと、そう思う。
綺麗なこの景色を見ながら死ぬのは、まだ少しは楽なんじゃないかな。なんて考えたり。
アニメや漫画のように世界に剣だとか魔法だとかがあって、魔物や魔族がいて、そんな幻想は目の前にはなくて。
この世界がつまんないから退屈で死んじゃう前に死んじゃおうかな。
「(退屈で死んでるならきっと今頃俺はいないよな。)」
ふふ、と自嘲を零し、窓を開ける。
幼い頃、中学には行る少し前まで両親と世界を飛び回ったから余計に、今の世界はつまらなくて。
「さよなら、おれ。」
「それなら、私と共に、国を作りませんか?」
「…え?」
窓から身を乗り出す直前、後ろから聞いたことのない声が聞こえた。
其処にいたのは桜色の長髪と瞳をした、背の高い男だった。
不審者とか、外国人とか、そう考える前に、真白は男の姿に目を惹かれた。
「(綺麗な、ひと…。)」
「さぁ、此方へ。私と、国を作りましょう。白の王…貴方の国を。」
男がそう言って手を差しだし、はっとする。
「な、何言ってんの、あんた!く、国を作るとか…白の、王?」
眉を顰め、真白は男を睨みつけながらポケットのスマホを取り出す。
誰かに通報しておいた方がいいだろう。
警察でも呼ぼうか。
「白の王…貴方を捜していました。」
そう言って男が真白の前に跪いた。
「ちょ…っ、いきなり、訳、わかんないんだけど!いったい何なの?白の王とか国作ろうとかさ!」
跪く男に焦りながら真白が尋ねると、男は顔だけを上げて真白を見上げた。
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