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次の日師匠は朝センターに顔を出し早々に帰って行ったが『またね』と言わんばかりのウインクが不安を消してくれた。
――相談に乗って欲しい時に隣にいてくれた師匠。
これからは心の友としてずっと付き合い続けたいと思い、休憩時間に昨日のお礼をメールに入れておいた。
「さて、これからどうしようかな」
普段通りに仕事は進めているが明日の休みは食事会で、強制的に参加する事になってるみたいだが、どういう態度をしていいのか困りそうだ。
「まあ、自分を見失わないようにきちんとケリをつけよう」
星野くんは遅番のようで、私がオペブースに資料を持って行った時に声を掛けられた。
「明日は宜しくお願いします。昼ぐらいに迎えに行きますが、多分どっかのいいお店だと思うので、キレイめな格好で」
私に話す隙を全く見せず立ち去ってしまい『行くしかないんでしょ』と肩を落として自宅に戻った。
帰ってシャワーを浴びた後コーヒーを飲みながら、明日のシュミレーションをしたが、ランチを食べて本題に入った所で返事をして終了。
大して時間はかからないし予習はしたので、前回みたいな失敗もないだろうとシャンパンを飲みベッドに入った。
「なーんか巻き込まれ事故だよね、ツイてない展開になりませんように」
神頼みをしていると、師匠が来る事でピンと張りつめていた糸が切れたように、いつの間にか眠りについていた。
カーテンから漏れる光で目が覚めると十時を回っていて、予定ではもっと早く起きるつもりだったので、焦ってベッドから飛び起きた。
メークまで済むとコーヒーを飲んで自分を落ち着かす事にした。
天気もいいし今日はワンピースでも来て行きたい気分だが、彼女っぽくて納得いかない。
「でも高級なお店ならワンピが無難かな」
ノーカラーのジャケットにベージュ地花柄のワンピ―スを合わせてみる。
「まあ、これくらいにしておこうか」
お気に入りの服はあるがお洒落をするのも何故か悔しい気もするし、でもお店の雰囲気もあるので女性としてTPOは弁えたいところだ。
髪をセットし全身を確認していると『あと二十分ぐらいで着きます』と連絡が入り靴を磨き始めた。
「もっと早く連絡入れて欲しいんだけど、自分のペースが乱れる」
もう一杯コーヒーを飲もうと思ったが、仕方なく駐車場に向うと、シルバーのワゴンから星野君が手を振っていた。
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