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深夜3時。
眠い目を擦るコウタと、清々しい顔で昇降口に立つソウカの姿があった。
扉に手をかけると、開かなかった扉があっさりと開いた。
学校に存在した人物を、無事発見したからだろう。
暖かい空気が扉の隙間から入ったと同時に、外にようやく出られるという安堵感に包まれる。
「やっと出られる。ありがとうな、ソウカ」
「僕は何もしてない。探偵らしい事、何一つ見せられてないしな」
「あー別にそれは興味ない」
「助手のくせに、無関心とはなってないぞ」
「だーかーら助手じゃねーっつーの!」
少しでも見直した自分が間違いだ。
やはりコウタは、ソウカとはそりが合わないと思った。
しかし心の中では、ちゃんと感謝をしている。
それを真面目に伝えるのが、ちょっと照れ臭いだけだ。
昇降口を出て、正門まで歩く。
学校の正門までは、一直線の道。
いつも通る道なのに、何故か今日は遠く感じた。
「なぁ……」
「何だ?コウタ」
「何で探偵なんかやってんだよ。家業だって言っても、無理してやる必要もないだろ」
推理もできなさそうな、暗い影のような少女。
探偵みたいな、表立った事が苦手そうな性格。
コウタはソウカを良く知らない。
だけど、聞かずにいられなかった。
隣を見たコウタは、少し微笑むソウカの顔を見る。
「僕は、後悔してないよ」
2、3歩前を歩き、ソウカは振り返った。
キョトンとした顔で見つめるコウタに向かい、手を差し出す。
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