第二話 奪われた声

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翌日、昼休み。 ミスズは決まって昼休みは、屋上にいる。 まるで逃げ込むかの様に、いつもそこにいた。 屋上で食事をとるミスズの横に、コウタは座った。 彼女は目を見開き、驚きの顔で硬直してしまう。 だがコウタが笑顔で一緒に持ってきた弁当を指さすと、ミスズは微笑んで弁当の箸を進めた。 「教室で、食べないのか?」 コウタが問いかけると、ミスズは箸を止め紙とペンを手に持った。 サラサラと慣れた手つきで書かれた言葉は 『今は、1人の方が気が楽だから』 悲し気な顔で、嘘だとバレバレだった。 だがコウタはそれ以上何も言わず、再び箸を進める。 しばらくは無言で食べていたのだが、食べ終わったミスズが何かを書きだした。 渡された紙を受け取り、まじまじと見つめる。 「どうして一緒にいるの?って……それは……」 紙を折りたたんで、コウタは小さく微笑んだ。 「たぶんなんだけど、声を取り戻せるかもしれない」 その言葉と同時に向けられた、期待の眼差し。 助けてもらえるかもしれないという期待に、今ならば応えられる気がした。 失った声を取り戻したいという、その希望に。 「良かったら、俺と一緒に来てくれないか?」 昼休みの終わりを告げる鐘が聞こえると同時に、ミスズは小さく頷いた。
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