51人が本棚に入れています
本棚に追加
蒼樹ソウカは、クラスメイト誰しもが口を揃えて言うほど不思議な子だった。
片目を前髪で隠し、何やらブツブツと呟いたりしている。
その雰囲気が怖く、友達もいなければ近付く人すらいない程。
そんな彼女が、何故か今ここにいる。
「何してんだよ、蒼樹」
「赤羽コウタくんこそ、何故ここにいる!もう深夜だぞ!」
「それは俺もお前に言いてえよ」
呆れたコウタは、再び溜息をつく。
だがソウカは、何やら笑顔だった。
「僕の調べによれば、赤羽コウタは何か忘れ物をした。それも宿題だろう」
「なっ……!?」
「この宿題を落とせば、親御さんを呼び出しされる事になっているからな。忘れる訳にはいかないんだろう」
勝手にベラベラ喋るソウカだが、コウタの頭には何故そんな事を知っているのかと疑問ばかり浮かぶ。
誰にも教えてない、自分しか知らない情報のはずなのに。
だが、今はそんな暇はない。
コウタは無言でソウカから鍵を奪い、逃げる様に職員室を飛び出した。
最初のコメントを投稿しよう!