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その瞬間、聞き慣れた声が屋上に響いた。
「蒼樹さん!!赤羽くん!!」
入り口から手を振り声をかけたのは、ミスズだった。
ソウカの姿を見掛け、ここまで追いかけてきたという。
息を荒げながらも、彼女の顔は満面の笑みだった。
「どうしたんだ?もうお礼は済んだだろ」
「ええ。だけど、お2人にお願いがあって……」
お願いと言われ、ソウカは首を傾げる。
コウタもまた、肩をすくめていた。
大きく深呼吸したかと思えば、ミスズは勢いよく頭を下げる。
「私も、蒼樹さんのお手伝いをさせてください!!」
全くの予想範囲外な出来事に、開いた口が塞がらないコウタ。
だが対するソウカは、驚きながらも小さく笑っていた。
「ど、どうしてなんだよ急に……」
「ちょっと、オカルトごとに興味を持ちまして。蒼樹さんの近くにいれば、そういったものを沢山見れるのではないのかと思いました」
彼女は想像以上に、胆が据わっていた。
大人し気な表情の人程、本性は全く読めない。
ソウカは神経を擽られた感覚に、悦の気分へと浸る。
「第2の助手として、よろしく頼むぞ。広居ミスズ」
「……はい!!」
こうしてコウタの頭が理解する前に、新たな助手が誕生した。
空は雨を忘れ、明るい青空が広がる。
その下で3人は、互いに笑顔を零し合った。
「ところでさ、ソウカ」
「何だ?コウタ」
「さっき何か言いかけたんじゃないか?」
「それは、また今度にしよう。いつか話すよ……」
―――――――僕が何故、こんな事をしているのかをね。
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