第三話 鐘の音と消える人々

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呼吸に交じり、小さな吐息が聞こえた。 「ん……」 それは、コウタの声だった。 「こ、コウタ!!」 驚きのあまり、2人はコウタの元へ駆け寄る。 待ちかねていた目覚め。 ソウカもミスズも、互いに顔を見合わせ喜んだ。 「良かったです!!目を覚まさないって聞いた時、私で本気で焦って……」 「いろいろ僕も言いたいことはあるが、一先ずお礼を言わなければな」 にこやかで喋りかける2人に対し、コウタは何度も瞬きをしていた。 「どうした?コウタ」 「……ごめんなさい、誰、ですか?」 笑顔だった2人の顔が、一気に凍り付く。 だがその状況を上手く呑み込めていないコウタは、真っ直ぐソウカの方を見つめた。 「赤羽くん、もしかして……」 「あれだけの衝撃が頭にきたんだ。何もないはずがなかった……」 コウタの中の記憶は、一部だけ欠損するという異常な事態が起きていた。
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