第四話 失われた光と記憶

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コウタが記憶を取り戻し、サアヤは目を取り戻した。 夏休みが終わったいつも通りの学校生活に、登校を許された1つ下の学年のサアヤも加わって少し賑やかになってきた。 相変わらず暇になれば屋上へと足を運ぶソウカの元に、コウタはやってくる。 「よっす」 「教室でも会えるじゃないか?こんな所へどうした?」 コウタは何も言わず、隣へ座る。 不意に抱きしめられた感覚を思い出したソウカは、無意識に少しだけ距離をとった。 「実はサアヤの目の事なんだけど……」 「聞いた。3年前見たあの事件がキッカケなんだろ?」 「俺に憑りついてた女もその事件の被害者だったんだろ?何で今更……」 「コウタ」 呼ばれて横を見ると、少し厳しい表情を浮かべたソウカの顔があった。 ソウカもあれからその事件を調べ、1つの憶測に辿り着いたという。 「3年前の事件とコウタの父親が死んだ事件の黒幕、繋がっているかもしれない」 蝉の声が、まだ聞こえた気がした。
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