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この直前まで、当時のウォーダ家は二人の兄弟が、合議制で政権の意志決定を行っていた。
星大名宣言を許された時もこれに倣い、双方がウォーダ家当主として、兄はオ・ワーリ=カーミラ星系を、弟はオ・ワーリ=シーモア星系を直轄地とし、重要な意志決定は氏族会議によって行われる事になる。
二つの宗家はそれぞれの星都の名から、カーミラ星系宗家をイル・ワークラン=ウォーダ家、シーモア星系宗家をキオ・スー=ウォーダ家と名乗るようになり、旧主君であるシヴァ家は名目上の宗本家、事実上の被庇護者として、キオ・スー=ウォーダ家のシーモア星系に、僅かな直轄地を与えられて暮らすだけとなった。
しかし世代が進むと、やがて両ウォーダ家は反目し合うようになり、皇国暦が1500年代に入ると、これにさらにキオ・スー=ウォーダ家の三執政家の一つであった、傍流であるナグヤ=ウォーダ家の勢いが増して来る。
ナグヤ=ウォーダ家はサダーラ・ダン=ウォーダの代に、独自の流通網の構築で財力を上げ、その子ヒディラス・ダン=ウォーダの代には、軍事力でも大きく伸長したのである。
ヒディラス・ダン=ウォーダは隣国ミ・ガーワ宙域の継承問題に介入し、1553年には『アーズク・ザッガー星団会戦』でイマーガラ家に勝利、ミ・ガーワ宙域ナルミラ星系周辺を支配下に収める事に成功、これによってナグヤ=ウォーダ家の発言権は、二つの宗家と比肩するまでとなる。
しかしながら1553年、ヒディラスは今度は長年の宿敵である隣国、ミノネリラへ両宗家に無断で侵攻、カノン=グティ星系会戦で大敗を喫して退却、その勢いは失われる事となった。
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