【ヤヴァルト銀河皇国】

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【ヤヴァルト銀河皇国】

   ヤヴァルトぎんがこうこく:シグシーマ銀河の70%を版図とする巨大恒星間国家。辺境宙域である残りの30%には恒星間国家は存在せず、事実上シグシーマ銀河を統一支配している。銀河中心付近に位置する、ヤヴァルト星系第三惑星キヨウに皇都を置く。  構成種族的には、惑星キヨウを起源とした人類(ヒト種)を主体に、酸素呼吸系生命体が大部分を占め、それらが生存に適した惑星を有する1312個の恒星系を、『新封建主義』と呼ばれる政治制度で統治している。  皇国暦は1500年を越えているが、これは惑星キヨウの大陸国家時代からの暦で、皇国がキヨウを統一したのち、シグシーマ銀河全域に進出し始めたのは、1200年中頃からである。  皇国の支配対象は、自己の植民星系の他、『反転重力子』の発見を果たし、これを利用した恒星間航法を開発出来る科学水準に達した、知的生命体の国家となっている。  ただし当初、その支配は武力的なものではなかった。超長距離恒星間移動を容易にする超空間転移ゲートと、恒星間通信を可能にする超空間通信サーバーの主要宙域へ設置によって、全銀河交易ネットワークを建設する事が目的である。  皇国はこれにより異星人文明同士の遭遇による、不要な衝突を回避し、人的物的交流を容易にする事で、平和で豊かな銀河の発展を標榜していた。  ただその一方、皇国が実際に狙っていたのは、皇国主導による銀河の経済支配である。  植民星系は最初から皇国経済圏の一部だが、皇国に恭順した異星人国家にも多くの移民が送られ、次第に皇国統一通貨『リョウ』の経済圏に組み込まれる事になる。そして超空間転移ゲートと超空間通信サーバーを設置した星系には、皇国から『宙域総督』が派遣され、周辺の星系を束ねて経済統治するのである。  これらの宙域経済圏から徴収された莫大な税金と、超空間転移ゲート及び超空間通信サーバーの多額の使用料が、ヤヴァルト星系に集約され、さらに国力を増した皇国は、1300年代中頃にシグシーマ銀河中域で遭遇した、軍事的支配による領域拡大を目論む異星人恒星間国家、『モルンゴール帝国』との戦いに勝利すると、これを支配下に加えた1300年代末期には、その領域をほぼ現在と同様の最大版図にまで広げたのだった。  
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