完璧!蒲田筆子という女

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オレは小綺麗でおっしゃれな石造り風の校舎を仰ぎ見て地面に唾を吐く。 前の学校を退学になり、少年更正プログラムの一環で、この全寮制のお坊ちゃん、お嬢ちゃん高校に入れられた訳だが、刑務所みたいな更正施設よりはよっぽどましだと、たかをくくっていた。 教師に連れられて廊下を進む、教室に着くまでの途中、オレの茶髪や金のネックレス、それに自慢の改造学ラン(虎の刺繍入り)をチラチラ見ていたけど、注意も何もされなかった。 2―Bの教室に着くとクラスメイトとなる者達の好奇の目に晒される、進学校ってことでまあ予想の範囲内だ。 津井平次 黒板に書かれた名前の前に立ち、オレは軽く息を吸い込み、啖呵を切った。 「あーオレ、ダブりだし、人付き合い嫌いなんで、無視してくれてOKです、以上」 静まりかえる教室、教師もそれ以上何も言わずに、一つ空いている席を指しただけ。 ゆっくりと歩み、その窓際の席に着くとき、隣の席のヤツが舌打ちするのを聞いた。 オレは眼だけで凄んで威嚇する、女だった、負けじと目つきが悪い。 そのまま現国の授業が始まる。 首だけを窓に向け、あからさまに無視の姿勢をとる、すると、また舌打ちが聞こえた、 オレに対しての舌打ちだろうか、そっと目の端で女を見ると、こっちを睨んでいるように見えた。
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