完璧!蒲田筆子という女

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なんだこの女、相変わらず他人とは腹の立つヤツばかりだが、まぁコレも想定内なので目をつぶる。 教師が黒板に書き綴るチョークの音だけが静かな教室に響きわたる、耳に小気味良くて、いつしかオレは本当に目を閉じ眠ってしまった。 「バキンッ」 え、何かの折れるような音で目を覚ます、すぐ近くで聞こえたようだが何だろうと、オレは隣の女を見た、随分と大人っぽい完成された顔立ちをしている、ちょっと見キレイだ、本当に高校生か、いやそれよりも、 女はあからさまにその三白眼でオレを睨みつけていた、それと同時に理解した音の正体、その女が持っている真二つに折れた、エンピツ、いやシャーペン、間違いなくそれを折った音だ。 「ちっ」 オレは女を無視して、取り敢えず授業を聞いているフリだけした、女はその後オレに絡むのをやめたようで、新しいシャーペンかエンピツでノートを書き始めた、サラサラと音がし始めた。 イライラさせる女だ、授業が終わったら問いただしてやると決めた。 チャイムが聞こえる直前、微かにスピーカーからノイズが入る、そのタイミングで女が叫んだ。 「おい、津井とか言ったな」 オレは呆気にとられた、先に発言されたこともそうだが、とにかくこの女は怒っていた、しかもオレに対して、何をそんなに怒っているのだろうか、ようやくチャイムが鳴り響いた。 「あ、ああっ何だよ」 女は今にも噛みつきそうに口を半分開けて、血走った三白眼でこっちを睨みつけていた、教師はそそくさと退散した。
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