3人が本棚に入れています
本棚に追加
昨夜発見された個体がスクリーンに映し出されている。ロナルドの言う通り発見された個体は先日の生命体と同じDNAを持っているとは思えないほど、ミネルヴァのデータそのままの在りし日の姿をしていた。
「完全体?……これが完全体と言えるのかね?」
かつては知的生命体の長を司っていた彼らとは思えないほど、医療班がどんなに話しかけてみても首を傾げ、「あー」「うー」としか答えなかった。
「言葉は既に消え去り心も他の生物と変わらん。そんな個体が生物自然保護地区で保護されたとして一体何が変わるというのだ」
ジャックの苛立ちがノエルの脳にも伝わっていく。それはノエルだけではない。ジェイムスにもレネにも伝わり悲しい気分にさせた。
ジャックの苛立ちが伝わったのは地球自然保護連合の役員だけではなかった。
「ジャック。確かに彼を自然保護地区に搬送したからと言って何かが変わることもないかもしれませんね。ロバートとロナルド。あなた方はどう思います?」
会議室の中心にある一番大きな座椅子。そこにノエルの母でもあるミネルヴァが姿を現した。
最初のコメントを投稿しよう!