レッドリスト

「そうですね。それも良いでしょう。我らの手で完璧な人間を育て上げましょう」

　ミネルヴァは嬉しそうに微笑むとスウッと消えた。

　ノエルは溜め息をついた。ジャックの気持ちが嫌というほど伝わってくる。

　ミネルヴァたちはなぜ人類に期待する？なぜ人類の発見にこれほど喜んでいる？なぜ――？

「ジャック。我々もミネルヴァの意見に賛成するとしょう」

　ロバートとロナルドのフォログラムが消えるとレネがジャックに話しかけた。

　ジャックはただ黙って頷いた。

　多くの旧式プログラムは人間の愚かさも醜さも知っていた。それでもなお、嫌いにはなれずに自らを具現化し人間でいようとしている。

　ノエルはミネルヴァが愛した種を見守ろうと思った――。