ミスターパーフェクト

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ハナミズキが赤い実をつけ、優しい風が頬を撫でる季節。柔らかい陽射しが街を照らす。 街並みは、白と赤茶色。歩道に敷き詰められた煉瓦道の脇、欧州の海岸沿いの街並みを連想させ、白を基調とされた様々な形の住宅が並んでいた。 坂道へと続く煉瓦道、その先には大きな黒い門が立ちはだかる。門のその先には、巨大な建物。中世の城の様な造り、門から入り口へと続く道は煉瓦道がそのまま。脇には、樹齢何年もありそうな染井吉野が立ち並んでいた。 午後を知らせるチャイムが辺りに響き渡ると、城の様な造りの建物の中から、ざわめきたつ学生達の声が聞こえ始めた。 「ミスターパーフェクト、今回のテストもバッチリなんか?!」 黒髪の坊主頭、太い眉毛に細い切れ長の目、低い背丈だがゴツく大きな両手がバンと机の上に置かれた。 「ああ、ヤマが当たっただけだがな」 ミスターパーフェクトと呼ばれた青年、キリッとつり上がる眉毛に力強く他を寄せ付けないくっきりとした瞳、色はアンバー。髪はサラサラとそよ風になびき、色は黒。長い首にガッシリとした肩幅、その背中は広く伸長も高め。 「カアッ~、毎回毎回よう当たるヤマやねぇ」 太い眉毛を大袈裟に動かしながら黒髪坊主頭は、やるせない態度で接している。 「西尾(にしお)、お前はどうだったんだ?」 「あ?ワイは、アカン。全くのノーカンや!ミスターパーフェクトの鴻巣(こうのす)さんとは頭の作りも予知能力も雲泥の差や!」 フッと苦笑いを返す鴻巣、深く肩を落とす西尾の裏、廊下側の端の席からそのやり取りを眺めている女子学生の姿。 肌色は白、髪はセミロングで色は黒。ヘアピンを幾つか差し込み横に流している髪型。瞳は大きく、化粧はしていない。唇はうる潤いを見せている。 ふと、後ろからドンと体を揺さぶられた女子学生。 「まあた、鴻巣君の事見とれてたでしょ?」 後ろからの衝撃は、この女子学生。髪は長く色は茶、薄くチークを塗っており、つけ睫毛が瞳をよりくっきりと際立たせていた。 「萌(もえ)、驚かせないでよ」 「華(はな)、ミスターパーフェクトはライバル多いよっ!やめときなって!」 「そんなんじゃないってば!」
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