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華と萌の声が漏れる部屋の窓際、部屋の灯りがカーテンの隙間こらこぼれるベランダの手すり、そこに妖しく眼光を輝かせる1匹のコウモリが留まっていた。
暫くし部屋の灯りが消えると、妖しく眼光を輝かせるコウモリは、ふと飛び立つ。漆黒の夜空を天に向け、黒い羽を大きく広げ飛び去って行った。
黄色い豆電球だけの薄暗い華の部屋の中、萌は寝付けていなかった。何度目かの寝返り、華の横たわるベッドの横脇に敷かれた布団の中、遂には天を仰ぎ、萌の瞳はしっかりと見開かれた。
「華、起きてる?」
ゴソッと華は萌の方へと体を向かせた。華もまた、眠りにつけていなかった様子。
「うん、なんだか放課後の映像が、ずっと頭から離れなくて寝れ無い。」
「・・・華、悪いけど、やっぱそれ信じられないよ。」
「うん、仕方無いよ。でも、もしもの為に頭の片隅には入れて置いて欲しいよ、萌・・・」
「うん、分かった」
「ごめんね、ありがとう」
「はあ、なんで謝るかね。まあ、華のそーいうところが、私に色々と遠慮させてしまう最大の武器ではあるが。」
「え?どー言うこと?」
「言うつもりもなかったし、華が鴻巣君と付き合う事になっても私は心から応援出来たって事。勿論、隙あらばって気持ちも持ち合わせたままだと思うけどね!」
「萌・・・」
華の表情がぐちゃぐちゃに歪む。次の瞬間ガバッと起き上がり、萌が横たわるベッドの下にダイブ。
勢い良く萌に抱き付く華。
「あら!華ちゃーん!やっぱり慰め合いますか!?」
二やつく萌の両手は華の左右の肩を掴み、体を少し引き離す様にした。
「違う!でも、萌大好きー!愛してるー!慰め合わないけど一生離さなーい!」
華の勢いは、萌の体をガッシリと捕まえた。もがく萌、再び華の体を引き離そうとするが微動だにせず。
「うぉ、う、動けない、華ちゃん意外と力強いっすね」
「萌は、絶対私が守るから!信じて貰えなくても私が守るから!」
「わ、わかりましたんで、ちょ、華ちゃーん!」
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