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「おはようらすと」
「おはよ」
十月。
衣替えを終え、紺のセーラー服を身に纏う有紗が俺の前にいる。
早朝。
もう、受験勉強以外することの無い俺達は、登校時間よりも少し早く学校に向かい、二人で一緒に勉強することを日課にしていた。
「手握らなくて平気かい?」
「うん。でも、握ってようよ」
「そうだね」
俺は有紗の左手を握った。
少しだけ冷えた有紗の左手。
ずっと一人では歩けなかった有紗のこの手を、俺は何年も握り続けた。
ずっとずっと、自分の気持ちにも気付かず。
ただ、きっと有紗のためになると思って。
そして、何かが変わるかもと思って。
三ヶ月前のブルーウィークの最終日、俺は有紗に告白した。
あの時から全てが変わった。
ブルーウィークの間、徐々に変わっていた俺の気持ちが、あの瞬間に意識を持ち、明確な意味を持って、確実に、間違いなく変わった。
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