第1章  忍(続き)

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程なく地下から上がると、馴染みらしい一軒の居酒屋に案内され入っていく。 そして、店内に落ち着いて間もなく、話は彼のほうから切り出された。 「やっぱり無理か」 えっ……。 淡く苦笑を浮かべる友人を前に、にわかに用意してきた断りも声も 忍の喉に引っ掛かった。 そして、 「あっ、いや、そうじゃないんだ……」 彼は、おしぼりを手にしたままかぶりを振った。 それどころか、 「本当か?」 心底、意外そうな面持ちで目を瞠る友人に、忍は小さく頷いていた。
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