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程なく地下から上がると、馴染みらしい一軒の居酒屋に案内され入っていく。
そして、店内に落ち着いて間もなく、話は彼のほうから切り出された。
「やっぱり無理か」
えっ……。
淡く苦笑を浮かべる友人を前に、にわかに用意してきた断りも声も
忍の喉に引っ掛かった。
そして、
「あっ、いや、そうじゃないんだ……」
彼は、おしぼりを手にしたままかぶりを振った。
それどころか、
「本当か?」
心底、意外そうな面持ちで目を瞠る友人に、忍は小さく頷いていた。
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