第1章  忍(続き)

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「ああ、うん。なんとか出来ればとは思うんだが、 この前は、プランスケジュールも何も聞かなかったから……」 「なんだ、それなら、電話でもメールでも良かったのに」 「あっ、いや、そうだけど。 俺も今日はこっちに用があったし、この前は、あんまり時間もなくて ゆっくり話も聞けなかったからさ」 そうか……。 呟いた友人の顔が、ホッとしたように淡く緩んだ。 そして、緩んだ口元に、小さく苦笑が浮かんでくる。 「俺はさ、てっきりこっちに来る用事なんて口実で、 断りに来るんだとばかり思ってた」 「えっ? な、んで……?」 一瞬、ドキッと心臓が弾み、忍は慌ててちょっとむせた振りをする。
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