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気がつけば、眠っていた。
「……ん?」
瞼を開けて、メガネの位置を直す。
微かな気だるさが、全身にまとわりついていた。
身体を起こすのに、数秒を要する。
辺りを見回したが、そこには誰もいなかった。
どころかその場所にはそもそも壁という壁が一切なかった。
つまりここは、屋外ということになる。
記憶が、曖昧だった。
「まあ、いいか」
あまり深くは考えず、立ち上がる。
そして足の調子を確かめるのを兼ねて、少しそこらを歩き回ってみることにした。
しばらくすると、グリーンのフェンスに着きあたった。
きっかり十八歩。
さらにそれはぐるりと、周囲を取り囲んでいた。
足元は硬いアスファルト。
視界の上部には給水タンク。
なんてことはない、自分は今まで屋上で横になって眠っていたに過ぎなかったようだ。
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