歪な邂逅

6/40
前へ
/40ページ
次へ
 空気は、冷たかった。  こんな感覚は過去、味わったことがない。  殺気や怒気とも、また違う。  異様という感じが、一番近い。 「――――」  足をどけ、一歩離れる。  軽く腰を落とし、半身を切り、両手は拳を作る。 「へぇ、カラテカ?」  すく、と女生徒は立ち上がる。  何事もなかったかのように、普通に、平然に、当たり前に。  その両目が"あった"場所から、血の涙を垂らしながら。 「カラテカってあんま知らないけど、なんかすごいんだね。いきなり目突くし、女の子を蹴っ飛ばすし。ようしゃなーい」  キャッキャ笑っている。  その挙動に不審さはあれ、不都合さは見つけられなかった。  両足と頭部のダメージは、判断できない。 「そうか?」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加